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  minim++  |  art work    
       
 

 ○ [en]

 

:: プラネタリウム用ドーム、アクリル半球、カラーセンサー、鉄、アクリル、
 5+1wayスピーカーシステム、蛍光灯、プロジェクター、コンピューター等
:: 5000 × 5000 × 5000
:: [ interactive installation ]
:: 1999年

 

世界は円にちがいない。
宇宙も分子の構造も円や球で成り立っている。
では、世界は何からできているのか考えてみる。答えは無限にある。思いつく限りのあらゆるものが世界を形作っている。その内、2つの要素を選んで並べてみれば、そこに世界のある側面が見えてくる。それは、物語と言ってもいい。

◯[en]が展示されている会場には、直径5mの巨大な半球体=ドームが置かれている。観客はこの構造物の中に入り込み、ラック上に並んでいる数10個のカラフルな半球体の中から任意に2つ選び出し、それらを組み合わせて球体を完成させる。すると、あたかも球体の中に封じ込められていたイメージが開放されたかのようにドームの壁面に映像が投影される。この映像は、アイコナイズされた様々な物体のパーツであり、2つのパーツが組み合わさることによって、ある1つの「個体」が生み出される(例えば、青い馬の頭部と赤い猿の胴体が組み合わさると青と赤の奇怪な動物が出来上がる)。このようにして、会場に訪れた観客は、自分にとっての完全な球体を求め、幾つもの半球体を合わせていく。
会場内で同時に複数の観客が球体をセットすると、ある法則に基づいて、「個体」同士が干渉し合う。こうした現象が起こったとき、会場内の2人(あるいは数人)の間に関係性が生まれる。
さらに◯[en]は、常にインターネットに接続されており、サイトから作品に参加することもできる。作品の中に、参加者自身が描いたオリジナルの半球体を潜り込ませ、他人の半球体と交わる。つまり展示会場の半球体はそれ自身で完結した世界ではなく、インターネットを介して別の世界の半球と繋がることで、作品が成立している。
ドーム型スクリーンという巨大な半球体の内部で、2つの小さな半球体を組み合わせ、「完全」な球体を探し求めていた人々は、無意識のうちにインターネットという広大な世界の中にあるもう1つの半球体と交信しているのである。

プラトンによれば、本来人間は球形であった。けれども、その力があまりにも強大すぎたために、神によって真二つに切断されてしまい、今のような人間が生まれたというのである。それ以来、半球体となった人類は常に自分のもう一つの半球体を求め続けている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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