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 hanahana

 

:: 香料、机、紙、匂いセンサー、プロジェクター、コンピューター等
:: 500 × 1500 × 1700
:: [ interactive installation ]
:: 2006年

 


“hanahanaは匂いの視覚化を可能にしたscenting device project である。
私達は日頃、様々な匂いに囲まれて生活している。人間は太古の昔より、“匂い”から自分を取り巻く環境の情報を得、危険を察知し、精神をくつろがせてきた。そしてまた“匂い”は視覚的な情報よりも強く、人々の記憶を呼び覚ますトリガーともなってきた。一方で、揺らぎやすく定着しにくいその不安定な性質から、“匂い”を数値化しそれを二次的に利用することはまだまだ未知の分野である。“匂い”は発生源や気流、温度、湿度など様々な要因から刻々と変化する。人間の嗅覚もまた、強い匂いをかぎ続けると麻痺したり、微小な変化やある種の匂いに気づきにくかったり、限定された感覚器官である。
このような匂いというとらえどころのないものを、楽しんだり、他の感覚に変換させたり、分類しようという試みは古くからなされてきた。たとえば時間の変化で香りも変化するように香水が作られたり、調香師が膨大な種類の匂いの違いをヴィジュアルイメージとして記憶したり、音楽の音階のように“香階”という分類が発明されたりしたのである

hanahanaは “匂い”を視覚化し時間的変化を体験することで、その性質について再認識を図るとともに、感覚の拡張への可能性を追求する。
日本語でhanaは“匂い”の受容器官である“鼻”を意味する単語であると同時に、“匂い”を発する“花”を指す言葉でもある。この二つの言葉を合わせ持つこの作品は、“匂い”の種類と強さ、時間軸での変化を、映像化された形と色、色の濃度によって表現する。

壁に面して白い机がある。机の上には10種類の異なる液体の入った香水瓶、紙でできた葉っぱ、花瓶が置かれている。葉っぱに香水を吹きかけ、花瓶にささった白い茎にさすと、壁に映った茎のシルエットの先に様々な形・色を持つ花が現れる。花の形や色は葉っぱについた香りの強さ、種類によって多様に変化する。観客は刻々と変化する花の色や濃度から、匂いが時間的に変化していく様を体験する。作品は用意された香水だけでなく、観客が持っている“匂い”、例えばつけている香水などでも変化を体験する事ができる。
花瓶のシルエットとともに壁に映し出された匂いの花を見ることによって、観客は匂いという、存在しながらとらえどころのないものを再認識するのである。

今回、匂いのリアルタイムセンシングのために、化学実験や製品評価の分野で定量的測定に用いられている匂いセンサを応用した。このセンサは空気をサンプリングし、匂いの強弱と匂いの種類の識別情報をリアルタイムで測定することが出来る。匂いの強弱は、あるレンジの匂いの強度を1000段階に分けて測定できる。匂いの識別は、その空気に含まれる物質に応じて100種類に分けて測定できる。データは1秒毎にコンピュータに転送され、コンピュータはこのデータをもとに、リアルタイム(400fps)に映像を描画する。
Media ArtやCHI(Computer Human Interaction)の分野で,匂いを入力とする例はほとんどない。この作品は,匂いを用いたインタラクティブシステムの新たなパラダイムを築く可能性がある。本プロジェクトとしては、今後匂いを入力とするシステムのさらなる幅広い展開を考えている。

 

 

 

 

 

 

 

 


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