at [case edo-tokyo]

床に投影された東京の都市空間に足を踏み入れると、その位置に対応した江戸時代の古地図が浮かび上がる。さらにその地図の上を様々な動物の足跡がついてくる。十二支のうちのどの動物になるかは、踏み入れる方角によって決まる。複数の動物の足跡が交差すると、踏まれたほうの足跡の主が姿を現し、それぞれの方角へ帰っていく。

足跡は、空間的に確かにその場所に存在するものだが、そこに誰かが「いた」という時間的過去の存在を示すものでもある。 「at」という前置詞も、空間におけるある地点を示すだけでなく、時間におけるある一時点をさす場合にも用いられる。 江戸時代以前には、時間と方角は、どちらも十二支を用いて表されていた。今、こうして現代の航空写真と古地図とを見比べてみると、空間と時間という概念が非常に密接な関係をもって生まれたものだということを再確認することができる。

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