at

sight specific series

at – sight specific series は “edo-tokyo”バージョンをはじめ、展示する土地にあわせた地図を使ったバリエーションが制作されています。
床に投影された都市空間に足を踏み入れると、その位置に対応した江戸時代の古地図が浮かび上がります。さらにその地図の上を様々な動物の足跡がついてきます。十二支のうちのどの動物になるかは、踏み入れる方角によって決まります。
複数の動物の足跡が交差すると、踏まれたほうの足跡の主が姿を現し、それぞれの方角へ帰っていきます。

足跡は、空間的に確かにその場所に存在するものですが、そこに誰かが「いた」という時間的過去の存在を示すものでもあります。「at」という前置詞も、空間におけるある地点を示すだけでなく、時間におけるある一時点をさす場合にも用いられます。江戸時代以前には、時間と方角は、どちらも十二支を用いて表されていました。
今、こうして現代の航空写真と古地図とを見比べてみると、空間と時間という概念が非常に密接な関係をもって生まれたものだということを再確認することができます。

at は、筧康明が開発したインタラクティブな空間演出システムであるi-traceシステムを用いた作品です。このシステムは、人物追跡、コンピュータグラフィックスおよびプロジェクション技術を応用し、人の歩いた軌跡とその軌跡同士の触れ合いを様々な映像表現でリアルタイムに演出することを可能にしました。