KAGE-table

昔から、影は実在することの証であった。けれども、影そのものはモニターに映し出されたイメージと同じように、実体がない。影はまた、影絵にみられるように、映像というものの原点でもある。《KAGE》ではそのことに着目し、円錐形のオブジェの影をコンピュータによって作り出した。オブジェに触れると、その影は、動き出したり、形を変えたり、ときにはカラフルに色づいたりする。

鑑賞者は、映像である偽物の影と自分自身の本物の影が同じ平面上に投影されたとき、自分の影と存在を再認識するのである。

1997年に制作した《KAGE》というインスタレーションを日常空間の中に持ち込んでみたいという欲求から、《KAGE-table》という作品は生まれた。生活を取り巻く照明が白熱球から蛍光灯、そしてLEDへと移り変わる中で、再び「陰翳礼讃」の視点が求められている。

Since antiquity, shadows have testified to the existence of something. However, shadows themselves, like images on the monitor, do not physically exist. Shadows are also the origins of moving images, as observed in shadow puppetry. The viewer re-recognizes their existence and shadow by seeing the video created by the computer, or a fake shadow so to speak, and their own shadow being projected together on the same surface.